更新:平成28年2月7日

(1)消費税の原則課税と簡易課税
[原則課税]による納税
(課税売上高×8%)-(課税仕入高×8%)
[簡易課税]による納税
(課税売上高×8%)-(課税売上高×8%×みなし仕入率)
消費税の納税方式には、上のように[原則課税]と[簡易課税]があるのですが、[原則課税]による納税額計算はすごく面倒で人手もかかるので、課税売上高が5,000万円以下の中小零細事業者には、原則課税か簡易課税かが選択可能となっていて、ほとんどの中小零細事業者は[簡易課税]で納税しています。
(2)大雑把に言うと
[簡易課税]による納税は、課税
仕入高を一切考慮しません。
課税
売上高だけを考えればよく、それに、お上が設定した[みなし仕入率]という数字を掛けさえすれば、一発で納税額が算出できる、まさに中小零細事業者向けの制度なのです。
上にも書いたように、[簡易課税]による納税は、
(課税売上高×8%)-(課税売上高×8%×みなし仕入率)
ですから、課税売上高が2000万円の不動産業者がいた場合、 (2000万円×8%)-(2000×8%×みなし仕入率40%)=
96万円が消費税の納税額になります。
(3)平成27年3月31日までは、不動産業の[みなし仕入率]が50%だった!
ところで、課税売上高が2000万円の[簡易課税]を選択した不動産業者がいた場合、平成27年3月31日までだったら、不動産業の[みなし仕入率]は50%でした。
だから
(2000万円×8%)-(2000×8%×みなし仕入率50%)=
80万円
の消費税を納税すればよかったのです。
(4)消費税が免税される中小零細事業者
課税売上高が1,000万円以下の中小零細事業者には、そもそも消費税が免税です。
いわば課税売上高が5,000万円以下の中小零細事業者より、もっとビンボーな業者ですね。
でも現在の政府は、[みなし仕入率]を50%から40%に減らした制度は、そのままで、もっとビンボーな免税事業者にも適用しました。
最近、市販本の訂正表で、
「
宅建業者が消費税の免税事業者でも、3.2%の消費税相当額を上乗せ受領できる」というような記述に変わってますが、いままで書いて来た事の元をただせば、不動産業の[みなし仕入率]を50%から40%に減らされたことが犯人です。
今までは免税事業者でも、不動産業の[みなし仕入率]が50%だったので、8%×50%=4%の上乗せ受領ができました。
でも不動産業の[みなし仕入率]が40%に下がってしまったので、これからは8%×40%=3.2%までの上乗せ受領しかできなくなった、というわけです。
※ 蛇足
国土動第125号 平成27年3月2日
全宅連会長に宛てた不動産業課長の文書
文章読解力を鍛えたいと考えている方は、たまには、上のリンク先のような堅苦しい文章を読んでみるのもいいと思います。
ほとんどの大手予備校・大手出版社は、上記リンク先の文書で「免税事業者の場合、4%の消費税相当額の上乗せ受領不可」を気づかされたようです。大手といっても大した事ないですね。
調べてみたら、不動産業の[みなし仕入率]が50%から40%に減らされることは、すでに平成26年4月の段階では情報としてありました。
かく言う迷物講師も同じ穴のムジナ。今回書いたことは5月の連休のころ知って、びっくりしたのでした!